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とびだせどうぶつの森の話68(2013/3/15) 



~前回までのあらすじ~

本来居合い術は、敵の強襲に対して納刀状態から即座に斬撃に移るための技術であり
抜刀済みかつ臨戦状態から繰り出すような手段ではない。
しかしハムカツは力の扱いに不慣れであり、
特に炎を一箇所に留めておくという事が特に苦手だった。
そんな彼の欠点を補うのがこの居合い術だった。

彼の持ち技の一つである
超絶熱波極大豪炎消滅波光暗黒乖離紅蓮鳳凰次元終焉星乱遥遠超越深淵業火撃滅斬は
全力で発現させた自らの炎を武器に付与し、力任せに叩き斬るというお気に入りの技だ。
これはハムカツが並外れたを持つために可能な技で
他の者がこのような無計画に力を使えばすぐにガス欠に陥る。

つまり膨大な炎を垂れ流すのではなく
他者のようにうまく纏め上げる事ができればどれほどの威力になるのか。
そこで無理矢理力を押し留める役目を補うのが彼が刀と同時に具現化する鞘だ。
納刀した状態の刀に爆発的な力を送り込む。
本来ならば掛け捨て型の医療保険の様である彼の炎が、鞘の中で圧縮される。
鞘を保てるギリギリの状態までそれを続け、限界地点で解き放ち相手にぶつける。
放たれた灼熱の剣閃は全てを両断し、燃やし尽くす。

ハムカツ流、弐の焔、絶炎は爆熱のワタナベを両断し燃やした。
燃え尽きて行く彼女を見つめその行く末を見つめていた彼の背に声が届く。

「何・・これ・・燃えているの?人が?」

蛙のチョキは炎に近づく。
動揺する豚の横をすり抜けるように歩く。
同じように狼狽していたチョキだったが、
その足取りは歩を進めるごとに疑問は確信に変わる。
例え炎に巻かれていようが関係ない。
あの時から長い長い時間を過ごしてきた彼女を見間違うわけがない。

「爆熱のワタナベ、あなたまたハムカツ様に挑んだの?」

燃え盛る女にチョキは語りかけた。
短い沈黙。
観念した様に炎の中の彼女は言葉を返してきた。

「チョキ様・・・私はあなたに隠し事をしていました。あの豚への殺意です」
「知ってるわ」

今更ね。だってこの前私の前で殺そうとしてたわよ。
あの後、割と本格的に彼女を叱り付けた。
罰として尻を叩いた。
彼女は言い訳をせず、それを受け入れた。
だから相当長い時間叩いた。
ちょっとしたロックバンドの一回のライブくらい叩いた。
最後の方は目的を忘れて、天才ドラマーの気分でただひたすらに叩いていた所を
他の取り巻きの女子達に押え付けられた。
その時に気が付くべきだった。
それくらいでは彼女は止まらない。
尻は腫れ上がっていたが、同じように目も曇りなく晴れ上がっていたではないか。

「この前も、今日も私を思っての行動でしょ?」

チョキはもう叱ったりしない。
これは自分の落ち度だ。

「キエ・・・」

彼女は情けない呻き声を上げる。
叱り付けてくれた方が楽だったのだろう。
チョキはただ諭すように言う。

「女は、秘密があるほうが魅力的なのよ」

やっとわかった。
あなたは引っ込み事案で私がそれを引っ張って。
私もあなたもそれで満足しているつもりだったけど
きっとそんな関係じゃ駄目だった。

「きええ・・・」

いつから私は傲慢になっていたんだろう。
不器用な彼女を正しく導いてやれなかった自分が一番罪深い。
いつからそんな風に考えるようになっていたのか。
もしかしたら最初から何もかも間違っていたかもしれない。

「もう・・。知ってる?あなた口臭が酷いのよ」
「キエ!?」

何が偉人をもっと知りたいだ。
私はただ有能な生物を自分に従順な人間にしてしまいたかっただけではないのか?
この子を変えたのは私だ。
この子を追い詰めてしまったのも私だ。

「ほら、私もあなたへの隠し事してた。伝えたかったのに黙っていた。おあいこよ」
「チョキさま・・」

私は馬鹿だ。
付いて来いなんて言葉は相応しくなかった。
私の願いはそんな事じゃなかった。
もっともっとただただ単純だった。

「これからは私に直接言いなさい」

もう一度やり直そう。
許されるなら、もう一度最初から。

「・・チョキ様は男の趣味が悪いです!」

彼女がやっと私に伝える。
そのままの言葉を私にぶつけてくれる。
それがうれしかった。

「あと皮膚がヌメヌメしているし、なんか体も臭」

「言いすぎよ!」

すごく長く続きそうだったので遮った。
いつの間にか怪物を覆っていた炎が消え、そこには晴れやかな少女が居た。
ずっと見慣れてきたはずなのに、初めて会ったあの日の様だった。
あぁ、そうか。
私たちはこれだけ長い時間を過ごしていたのに
お互いに心から見せた事のなかった顔をしているんだ。
あなたの笑顔。
本当に綺麗ね。

「強かったでしょ、私が好きになったひと」
「キエエ」

ねぇ、爆熱のワタナベ。
私と友達になってくれる?



「あれはお前の差し金か、ジュリー?」

ハムカツが具現した刀が花火の最後のように儚げに消え去った。

「その辺をウロウロしていたから避難させただけさ」

打開策を模索していたジュリーはアトラクションで事故があったとのアナウンスで
混乱して逃げ惑う来援客の中にチョキを見つけた。
彼女はいつも通り、息をするようにハムカツをストーキングしていたのだが
そんな事は関係なかった。
もしかしたら、救えるかもしれない。
祈るような思いで彼女をここに連れて来た。
爆熱のワタナベを救いたい。

「それより君こそ、彼女を殺すんじゃなかったのかい?」

「今日は焔の調子が良くなかった」

そう思っていたのはジュリーだけではなかったようだ。


「そうかい。まぁ、これで一件落着かな?」

馬は笑って言う。
豚も笑って言う。

「ああそ・・」

突如ハムカツの腹を何者かの腕が貫く。

「豚くん!?」

勝利を確信した瞬間に最も大きな隙が生まれる。
最後の最期まで気を抜くな。
先代の言葉が脳内で響く。
臨戦態勢になったジュリーが力を解放しようとしたその瞬間
崩れ落ちるハムカツの後ろに、手を赤く染めた羊が居た。

「スイーツはぁ?」

メリヤスは冷徹に言い放つ。
ハムカツの腹を貫いたその技は、親友のミカに伝授された護身術。
素手で内臓を引きずり出すあの技だった。

「あ・・・今すぐ買って・・来ます」

ゆっくりと立ち上がるハムカツ。
臓器は飛び出たままだ。
彼はそれを少しずつ直しながらも、未だ飛び出た多くを引きずって歩いていく。
君が見据えるその先に何があるというのか?
ジュリーには全く理解できなかった。

「やれやれ、爆熱のワタナベさんは見る目があった。確かに彼は家畜だったよ、恋のね」

ジュリーがそう言って両の手のひらを向けた先の空は蒼く、雲ひとつない快晴。
今回の戦いでハムカツパークが受けた被害は数億円。
今日も世界は何かを失って、何かを得る。





羊「えーそうなんですかぁ、行ってみたいですぅ」
馬「じゃあ今度一緒に行こうか」

談笑する馬と羊を追う2匹と1人。

豚「俺のときと全然違う・・・」
蛙「あの子・・ジュリー様まで・・」
爆「キエエ」


豚「なんでメリヤスはデレデレしてるの?俺なんか内臓抉られるんだよ!」
蛙「それは・・・ジュリー様はB4でも1番人気だし・・」
豚「え?俺じゃないの?」
蛙「ハムカツ様は、最下位です」
豚「うそ!?」


蛙「人気指数を大まかに言うと、ジュリー様が40
ヤマト様が30、しょうたろう様が29、ハムカツ様が1です」
豚「1!?」
蛙「1は私です。この子もこの間からジュリー様」
爆「キエエ!」


豚「お前ふざけんなよ!誰が助けたと思ってんだ」
爆「キエエ!」
蛙「そういう雑なところが本当にキツいって言ってます」
爆「キエエ」
蛙「お前は雑に刀振り回してただけだろ、って言ってます」



爆「キエエ!」
蛙「私が助かったのは、ジュリー様がチョキ様を連れてきてくれたからだ、って言ってます」
豚「酷い・・・」
蛙「大丈夫です。私はハムカツ様の味方ですよ。」
豚「うん・・ありがとう」


-数時間前

馬「失踪事件?」
鰐「短い期間でかなりの人数です。これはおそらく」
馬「LOVE PHANTOMの仕業、か。それで僕に見てこいと」
鰐「目星はついています」


鰐「性別も職業もバラバラな被害者達ですが、ほとんどの者がある男と接点があります」
馬「そこまでわかっているなら話は早いね」
鰐「これが資料です」
馬「ところでヤマト」


馬「また話し方変えた?」
鰐「・・・」
馬「元の方言丸出しの方が僕は好きだな」
鰐「・・・」
馬「まぁ、いいけどさ。肩の力を抜いてやりなよ。じゃあ僕は行くね」

馬は窓を開け放ち天高く飛んだ。


-とある街

馬「さてターゲットの家は・・あれ?」

馬の視線の先に、大量のスイーツを買い込む羊がいた。

馬「やぁ、メリヤスちゃん」
羊「なんだぁ?チッ、豚の仲間かぁ・・・」



豚「メリヤスに悪い虫が付かないように今日も見張っていたら、
ジュリーが来やがった。よし、俺にするみたいに肩関節を外すんだ・・・
ってあれ?なんで和やかな空気に?あれ?意味わかんない!」


蛙「いい?自分を安売りして手に入れた恋は、結局安いものなの」
爆「キエエ」
蛙「そうならないためには、まず相手の外堀を埋めて隙が出来たら刺す!」
爆「キエエ」
蛙「あら。ハムカツ様だわ」

To be continued
[ 2013/03/15 00:00 ] 掲示板シリーズ | TB(0) | CM(0)
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